足場の安全に必須な筋交いとは?設置を怠ると違法になる場合も
建築途中の建物や、大きな建物の壁などに斜めやX型の柱を見たことはありませんか?
これは筋交いと呼ばれる建築部分の一つで、建物を地震や強風などから守る構造です。
建築に必要な仮設建築である足場自体にも、作業員や通行人の安全のため、筋交いの固定が必要です。
今回は足場で使われる筋交いの種類や使用方法について解説します。
目次
足場の筋交い(ブレス)とは?必要性や役割について
筋交いとは建築物を頑丈に保つために、施工物の骨組みや柱の間へ斜めに固定する棒や板のことを指します。特に金属や鉄筋性の筋交いをブレスと呼ばれることもあります。
筋交いを設置により建物が頑丈になる原理としては、建物に力が加わった際に筋交いに力が分散されるからです。
阪神淡路大震災の際に筋交いを利用した建築物は被害が少なかったことで知られています。
また、学校などの公共の施設にて、古い建物に耐震工事を施工することが急ピッチで進められていますが、筋交い方式が多いです。
現在、建築基準法により特段頑丈な建物以外は筋交いは義務になっています。
建物を建築する際に利用される「足場」でも、地震や強風によって倒壊の危険性があることから、作業員の安全を目的とした労働安全衛生法により、2m以上の足場には一定の間隔で筋交いの設置が義務付けられています。
地震大国である日本では必要不可欠な部材といえるでしょう
下記の記事では、足場の仮囲いについて紹介しています。
筋交いと同じように安全のために重要ですので、あわせてご覧ください。
筋交い(ブレス)の種類
小規模建築物な建築物や閉所などの狭い場所で利用されるケースの多い単管足場の場合、筋交いには使用される場所により「けた行筋かい(大筋かい)」、「はり間筋かい」、「水平筋かい」の3種類があります。
「けた行筋かい(大筋かい)」は足場の側面に配置する筋交い、「はり間筋かい」は正面に配置する筋交い、「水平筋かい」は側面にて水平の向きにて配置された筋交いです。
大型で連結が比較的簡易なくさび緊結式足場の場合は「けた行筋かい(大筋かい)」を使用するのが一般的でしょう。
筋交いの品質が工事や建築物の安全性を左右することから、日本工業規格によって前述の筋交いの種類、区別、品質がJISA8951の型番で厳格に定められています。
筋交い(ブレス)の設置方法
簡単にではありますが、足場に利用する筋交いの設置方法を解説します。
筋交いの設置は以下の工程で施工します。
- 足場の外側(後踏み場)に一箇所以上の筋交いを設置します
- 支柱の最下部のくさび受けから支柱最上部に渡り、筋交を設置
- 地面に対して45度の傾きで、全ての階層、全てのスパン(1.8m)ごとに渡り連続して設けます
筋交いは全体にわたって、記入しなくては意味がありません。
- それぞれの構面ごとの向きで設置します。
- 前述の「けた行筋かい(大筋かい)」、「はり間筋かい」、「水平筋かい」の3種類に対応した面に筋交いを導入する
- 筋交いには片方しか入れないものと、ダブルX型に入れる
筋交(ブレス)を設置時の注意点
筋交いには設置時に注意すべき点があります。
筋交いの品質などに認証を行っている組織である仮設工業会が注意点を定めています。
- 筋交は全スパン(横)にハの字型に入れる
- 支柱の最下部のくさび受けから支柱最上部に渡り、筋交を設置
- 支柱の最下部のくさび受けから支柱最上部に渡り、筋交を設置
- 一側足場を除き、X種のくさび緊結式足場用先行手すりを設置する
筋交いは斜めにしないと、効果を発揮せず、綺麗なハの字で設置できているか工程ごとのチェックが欠かせません。
また、スパン(1.8m)ごとに筋交いを設置する義務があります。
両面に鉄筋が確保された足場の場合、両面に手すりを設置する義務があります。
安全の確保には足場の筋交いが必須
見てきたように、法律で義務付けられるほどに、筋交いは建築作業には必須とされています。
また、正式な使い方を怠ると、本来の性能が発揮できず作業員の命を危険にさらす可能性もあります。
経年劣化のチェックをしながら、改めて筋交いの利用方法を見直しましょう。
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