枠組み足場(ビティ足場)とは?特徴や組み立て方、安全に対する取り組みを解説
建築現場などでの高所作業を安全に行うために欠かせない「足場」。
その足場のひとつとして、高層建築物にも使用されることの多い「ビティ足場」は、安全性も高く、組み立て時の騒音の少ない足場材として幅広く活用されています。
今回は、ビティ足場の特徴や構成部材、組み立て方などについて解説します。
労働安全衛生規則や手すり先行型など、安全に対する取り組みについてもご紹介しますので、ビティ足場を検討する際にお役立てください。
目次
枠組足場(ビテ足場)とは
ビティ足場とは、建築現場などで仮設的に設置される足場の一種で、ビテ足場と呼ばれることもあります。
足場は、大きく分けると主に「枠組足場」「くさび式足場」「単管足場」の3種類があり、ビティ足場はそのうちの枠組足場の一種です。
ビティ足場(ビテ足場)とビケ足場の違い
ビティ足場と似た名称のものに「ビケ足場」がありますが、これらは全く別のものです。
- ビティ足場 :枠組足場の一種
- ビケ足場 :くさび式足場の一種
ビティ足場は、強度や耐荷重性が高いため、主に中高層建築物や大型の建築物に適しています。
一方のビケ足場は、主に住宅や小規模な建築物の施工に使用されている工法です。
それぞれに適した建築物や用途があり、作業内容に応じて適切な足場が選定されています。
ビティ足場(ビテ足場)の「労働安全衛生規則」について
建設現場などにおいて、高所作業中の墜落や転落が多発していることから、墜落防止などの対策強化が図られるようになりました。
そこで、平成21年6月、足場に関する「労働安全衛生規則」が改正され、足場の種類に応じて、墜落防止措置や物の落下防止措置が強化されました。
枠組足場(ビティ足場)において新たに定められた措置を解説します。
人の墜落防止措置
- 交差筋交いに加えて、高さ15~40㎝以下の「下さん」を設置する
- 交差筋交いに加えて、高さ15㎝以上の「幅木」を入れる
- 手すり枠の設備を設ける
枠組足場では、交差筋交いの下のすき間からの墜落を防ぐため、交差筋交いに加えて下さんや幅木の設置、手すり枠の設置が必要となりました。
物の落下防止措置
- 高さ10cm以上の幅木の設置
- メッシュシートまたは防網の設置
高所作業場からの物の落下を防ぐために、足元に幅木を設置したり、足場全体をメッシュシートなどで覆うことが定められました。
点検項目の追加
さらに、足場作業での点検項目も追加され、事業者と注文者の両者は、墜落防止措置と落下防止措置の決められた項目について点検することが義務づけられました。
悪天候や足場の組み立て、一部解体、変更などの後には必ず点検を行い、点検の結果や補修などについて記録しなければなりません。
事業者は、足場を使用する作業が終了するまで、点検結果についての記録を保存する必要があります。
ビティ足場(ビテ足場)の特徴・使用用途
ビティ足場の特徴は、主に次の3つです。
- 強度や安全性が高く、高層建築に適している
- 組み立て、解体に比較的時間がかからない
- 作業時の騒音が少ない
ビティ足場に使用されている部材は、強度が高く、耐久性に優れているため、高層建築の足場として利用されることが多いのが特徴です。
組み立てや解体も比較的時間がかからず、決められた部材を組み込んで設置していくため、ある程度の経験がある作業員ならスムーズに作業を進められます。
また、組み立てや解体時にハンマーを使用しないため、作業時の騒音が少ないこともビティ足場の特徴です。
ただし、大型の足場を組む場合は、クレーン車や大型ユニック(クレーンを装備したトラック)が入ることができるスペースが必要となります。
ビティ足場(ビテ足場)の構成部材
ビティ足場では、資材となる鋼管を門型に加工した「建枠」など、多くの部材を使用します。
主な構成部材(敷板、ジャッキベース、建枠、筋交い、連結ピン、鋼製足場板)について解説します。
敷板
敷板とは、ジャッキの下に敷く板のことで、足場の沈みを抑えるために足場の一番下に使用します。
敷板は、足場の安定性を確保するために、正しく設置することが重要です。
ジャッキ(ジャッキベース)
ジャッキは、足場の最下部に設置して、上下の高さを調整する資材です。
敷板を下に敷いて使用し、パイプを垂直に立てるベースとして足場を固定します。
ジャッキのハンドルを回して上下の高さを調整し、建枠の位置を一定に保ちます。
建枠(ビティ)
建枠(ビティ)は、柱となる門型の資材で、足場の骨組みを形成します。
ジャッキベースに建枠を挿し、横に水平方向に張られた足場板やジョイントパイプで補強されて組み立てられていきます。
筋交い(ブレス)
筋交い(ブレス)は、足場の柱と柱の間に斜めに入れ、構造を補強する部材です。
足場の耐震性や安定性を強めるために欠かせない部材で、一定の割合で筋交いを入れることが建築基準法に定められています。
下記の記事では、筋交いについて紹介しています。
設置時の注意点もあわせて解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
連結ピン(ジョイント)
連結ピン(ジョイント)は、建枠と建枠を縦に接続するために使用します。
鋼製足場板(アンチ、布板)
鋼製足場板は、鋼製布板や布地、アンチとも言い、作業床になる資材です。鋼製のものは、アルミニウムや木製のものよりも強度があり、一般的にメッキ加工された錆びに強いものが使用されています。
鋼製足場板(布板)の表面は、滑りにくいように凸凹していて、小さな穴が開いているのが特徴です。
ビティ足場(ビテ足場)の組み立て方
ビティ足場は、ジャッキベースを設置した上に、建枠、筋交い、足場板などの部材を組み合わせて設置していきます。
ただし近年、足場作業での安全面を考慮して、上層部の手すりを設置してから作業床(足場板)を設置する「手すり先行工法」が主流となりつつあります。
手すり先行工法では、足場の組み立てや解体の作業時にも、常に手すりがある状態で作業できるため、安全に作業することができます。
今回は、「手すり先行型」と「手すり先送り型」のビティ足場の組み立て方について解説します。
手すり枠先行型(手すり据置き工法)
手すり枠先行型(手すり据置き型)は、足場(作業床)に先行して手すりを設置する工法です。足場上で作業する際に、組み立て時にも解体時にも、常に手すりが設置されている状態となり、安全に作業することができます。
ビティ足場(手すり枠先行型)の組み立て方は、以下の手順で行います。
- ベース部分を組み立てる
- 1層目の建枠を組み立てる
- 1層目から上部(2層目)の手すり枠を取り付ける
- 床板(足場板)を取り付ける
- 2層目を組み立てる
- 2~5を繰り返す
まず、ベースとなる沈下防止用の敷板を、2枚水平に並べ、ジャッキベースを敷板にセットし、建枠(ビティ)をジャッキにはめ込みます。筋交い(ブレス)を建枠に組み込み、ジャッキの位置を固定し、ベースとなる1層目が完成します。
作業床(足場板)を取り付ける前に、2層目の手すり枠を下部(1層目)から上部(2層目)に先に設置します。その後、作業床を取り付けることで、上層部を組み立てる際にも常に手すりがある状態で作業することが可能です。
この繰り返しで層を重ねていきます。
手すり先送り型
手すり先送り型は、足場の作業床(足場板)を取り付ける前に、手すり機材を上層に設置する方式です。
手すり先送り型の手すり機材は、主に足場の最上層にのみ設置される(1層ずつ先送りされる)ことが特徴です。
手順は、手すり先行型とほぼ同じですが、筋交いなどが設置された状態で、当該の手すりは上層に送られます。
手すり先送り型は、足場の組み立てや解体作業時の安全が守られることが利点です。しかし、通常の作業時に手すりが常設されていないため、一般的には手すり先行型(手すり据置き型)が安全面でも推奨されています。
ビティ足場(ビテ足場)の価格相場
ビティ足場(枠組足場)の費用相場は、1,300円〜2,500円/㎡です。
クサビ式足場の単価は、900〜1,800円/㎡とされるため、比べると少し高額になる傾向があります。
ビティ足場は、建枠と作業床(足場板)を組み合わせて設置する、強度や安全性の高い足場とされています。
そのため、アパートやマンションなどの高層建築(地上45mまで対応)で使用されることが多く、戸建てで使用されるケースはそれほど多くありません。
戸建て(2階建て)では、ビケ足場(くさび式足場)が使用されることが多く、ビティ足場は、3階建て(10m以上)の住宅で使用されることがあります。
価格は、設置場所や面積・高さ、設置期間などによっても変動します。
ビティ足場材のご相談は、品揃え豊富なカセツ商会まで
強度や耐久性に優れたビティ足場は、高層建築にも適した足場として、建築現場や工場、イベント会場などで広く使用されています。
ハンマーを使わないため、作業中の騒音が少ないことや、安全性の高さがビティ足場の特徴です。
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