足場工事に必要な朝顔とは？種類や設置基準について解説

足場用語を行う際は「朝顔」の設置が必要です。

建設現場の安全対策として設置されるもので、建築基準法により設置が義務付けられています。高さや長さなども細かく設定されています。

また、朝顔には主に3つの種類があり、それぞれ素材や特徴が異なります。

本記事では、足場工事に必要な朝顔について、設置する目的や種類の違い、組み立て方などについて解説します。朝顔を設置する際は参考にしてみてください。

足場工事に必要な朝顔とは？

朝顔とは、足場工事において重要な安全対策の一つです。足場の周囲を覆って落下防止を図るネットやシートのことを指します。

朝顔は足場工事における業界用語であり、正式名称は「防護棚」と呼びます。

業界では「朝顔」として使用されることが多いですが、厚生労働省の「国土交通省の仕様書に基づいた足場等の安全対策」ではどちらも記載されています。

第三者を対象とした措置 【公衆災害防止対策】 現場の立地条件等を考慮し、必要に応じて以下の中から適当なものを設置

• メッシュシート
• 垂直養生ネット
• 防音パネル
• ネットフレーム
• 防護棚（朝顔）

※引用元：国土交通省

上記の記述から、法律用語としても「朝顔」の呼び方で使われていることが分かります。

ちなみに、防護棚が上向きに傾斜していることが朝顔の花に似ていることで、朝顔と呼ばれるようになったそうです。

朝顔を設置する目的

朝顔を設置する主な目的は、作業員の落下事故を防止すること、工具や材料などの落下を防止し、周囲の安全を保つことです。

たとえ小さな工具や材料であっても、高い位置から落下すると大きな事故に繋がる可能性が考えられます。

そのため、朝顔は作業員と周辺の通行人の安全を守るために設置されています。

下記の記事では、粉塵や塗料の散布を防いだり、騒音対策にもなる養生シートを紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事：足場に設置する養生シートの役割・種類と大きさによる価格の目安

足場工事に欠かせない朝顔の種類

足場工事に必要な朝顔は主に「鋼製朝顔」「アルミ朝顔」「シート朝顔」の3種類です。それぞれ解説していきます。

種類①鋼製朝顔

鋼製朝顔は、鋼でできた朝顔で、強度と耐久性に優れています。歩行者の出入りが多い場所に設置されることが多いです。

種類②アルミ朝顔

アルミ朝顔は、アルミニウムで作られており、軽量で耐食性に優れています。そのため、長期的な使用に適しています。

種類③シート朝顔

シート朝顔は、布やビニール素材、メッシュシートで作られたシート型の朝顔です。衝撃吸収性に優れており、部材が少ないため設置と撤去が簡単です。

下記の記事では、メッシュシートの役割や種類について詳しく紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事：足場に欠かせないメッシュシートの役割と設置に関するルール

朝顔に設置義務はある？

足場工事において、朝顔は建築基準法により設置義務があります。労働安全衛生法の第537条に「防網」として記されています。

（物体の落下による危険の防止）
第537条 事業者は、作業のため物体が落下することにより、労働者に危険
を及ぼすおそれのあるときは、防網の設備を設け、立入区域を設定する等当
該危険を防止するための措置を講じなければならない。

※引用元：厚生労働省

設置義務が定められているほか、長さや高さなどの基準も設定されています。

設置基準

建設基準法施行令で朝顔の設置基準は以下のように定められています。

（落下物に対する防護）
第百三十六条の五　建築工事等において工事現場の境界線からの水平距離が五メートル以内で、かつ、地盤面からの高さが三メートル以上の場所からくず、ごみその他飛散するおそれのある物を投下する場合においては、ダストシユートを用いる等当該くず、ごみ等が工事現場の周辺に飛散することを防止するための措置を講じなければならない。
２　建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が五メートル以内で、かつ、地盤面から高さが七メートル以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

※引用元：建設基準法施行令

また、設置する際の条件も明確に定められています。

• 足場の高さが10メートル以上で1段、20メートル以上で2段
• 長さは水平距離を基準に2メートル以上
• 角度は20メートル以上
• 隙間なく全面に張る

朝顔の設置にかかる費用

朝顔の設置費用は1メートル5,500円です。ただし、設置料金にプラスして運搬費用と撤去費用が発生することも考えなければいけません。

また、朝顔が公道に出る場合、道路占用料を自治体に支払う必要があります。道路占用料の計算方法は以下の通りです。

 

道路価格×使用料率×占用面積（×修正率）

 

道路占用料は市区町村によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

朝顔の組み立て方

朝顔の基本的な組み立て方は、以下を参考にしてください。

1. フレーム受け金具と斜材受け金具を組み立てる
2. コーナー部に使用する隅フレーム受け金具と隅斜材受け金具を組み立てる
3. 妻側フレーム受け金具と妻材斜材受け金具を組み立てる
4. 直線部分の朝顔を組み立て・設置する
5. 妻側部分の朝顔を組み立て・設置する
6. コーナー部分の朝顔を組み立て・設置する

朝顔を組み立てる際は、設置基準が守られているか確認しながら作業しましょう。

朝顔を設置するときは基準を確認しよう

いかがでしたでしょうか？この記事を読んでいただくことで、足場工事に必要な朝顔についてご理解いただけたと思います。

朝顔は建築基準法により設置が義務付けられており、3種類から現場や状況に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。

また、設置基準や目的を理解し、作業員と周囲の安全を守ることが大切です。本記事を参考にしながら、朝顔の設置について理解を深めましょう。

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